中庸なセックスを繰り返す楽しさと難しさがテレクラの醍醐味

テレクラに何か特別な体験を求めているわけではない。自分にはありふれたマ○コとの出会いと、平凡な挿入があればいい。強がって言うのではなく、本当にそれを望んでいるのだ。

だが、ありふれたセックスがしたいだけなのに、テレクラというのはどうもありふれたセックスだけを与えてくれる場所ではないらしい。

可もなく不可もなしといったところのテレクラ女性は、テレクラ全体のなかで見た場合においては、上の下といったランクに位置することになる。

テレクラでありふれたセックスを求めるというのは、そのまま上質なセックスを求めるということにほかならないということに気づくまでには、テレクラにおける中ランク以下の女性とのセックスが何度も繰り返す必要があった。

いまではありふれたセックスというもののハードルを少し下げているし、かつてありふれたセックスとして捉えていたものを、「テレクラでたまに味わえる贅沢」にまで引き上げることにそれほど苦労はしなかった。

テレクラを利用して苦しみを感じたりするタイプのユーザーが時々見受けられるが、そういったユーザーは、おそらくセックスに対する期待値が大きすぎるのだろうと思われる。

もちろん、自分のなかで期待値を下げるということは、よりよいセックスを目指しそれを諦めないテレクラユーザーからは妥協だと言われるようなやり方だし、実際、テレクラユーザーの知人たちが集まる会合で、私のそういった姿勢が批判されもする。

だが、プライドを高くし、セックスの期待値を高めれば高めるほど、求めているセックスはおろか、期待値が大きすぎるテレクラユーザーが見下しているセックスすら手に入らないというのがテレクラというものの難しさなのだ。

そしてまた、ここが皮肉なことに、期待値が大きいテレクラユーザーが求めているセックスというのは、無数の、見下されているような回避したくなるようなセックスの積み重ねのなかでしか獲得することができないのである。

私が期待値を下げて、テレクラ女性とのセックスの機会を増やしているのは、妥協ではなく、戦略的な後退なのである。

この戦略をとることによって、私はかつて求めていて手に入らなかった「上の下」としてのありふれたセックスを、中以下のありふれたセックスの集積を踏み台にして手に入れられるようになった。これは、期待値が大きかったことには滅多に起こらなかったことである。

期待値を下げたセックスを繰り返し、そのなかで飛躍の機会を待ってよりよいセックスを掴み取るというやり方で難しいのは、一度の成功体験が引き下げたラインを再びあげようとするときに、その欲求をいかにおさえるかというところにある。

ここで欲求のままにセックスの期待値をあげ、「ありふれたセックス」の基準を引き上げた場合、元の木阿弥で、テレクラにおける中程度のセックスには不満足になり、上の下のセックスにはたどり着けないという昔の状態にはやもどりしてしまうのである。

かといって「自分にはこのくらいが丁度いいのだ、自分にはこの程度のセックスが似つかわしいのだ」といって、自分が下げたセックスというものに安住しすぎるのも考えものである。期待値を下げたセックスライフのなかでも、虎視眈々と上を狙う精神性を保ち続ける必要がある。

本来の自分が求めていたセックスを見失ってしまうのは、本末転倒であるからだ。それでは戦略的な後退が単なる後退になってしまうだろう。

どうしてそんなにテレクラを使い続けられるのか、また、なぜテレクラでセックスを絶やすことがないのか、テレクラの何が楽しいのか、という問いに対する答えは、のきなみ、私が求めているありふれたセックスを継続的に手に入れ続けようとする難しさにこそつまっているのではないかと思われる。

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